―スパンカーになるきっかけは？
　昔はまだ体罰があったので、両親や先生が子どもを叱るときに叩く行為は当たり前だったと思うんですよ。私も高校生の頃、当時好きだった先生に叩かれた経験があり、いい意味でトラウマとして残っていたんです。卒業してからも心のどこかで「あのときのように叩かれてみたい…」と考えるようになりました。mixiなどで調べてSMという世界を知り、そこならお尻を叩いてもらえると思って、SMのお店で働き始めたんです。何年もSMで叩かれているうちに、この楽しみをほかの人にも感じてほしいと考え、自分も叩く側になろうと決心しました。

―SMとお仕置きの違いは？
　Ｓ嬢のときは、相手への言葉遣いや振る舞いが分からず悩んでいました。そんなとき友だちに教えてもらった風俗資料館へ行ってみたんです。そこでお仕置きに特化した書物に出会い、先生に叩かれたことを思い出し、あれはSMじゃなくてお仕置きだったんだと気がつきました。SMは痛みを快感として捉える側面があるけど、お仕置きはただ痛いんですよ。叩く理由が必要だし、主従関係でもない。子どもが熱いものに触ろうとしたときに、注意しても聞かないから叩く。触ったら叩かれるから触らないようにする。あくまでお仕置きは反省していい子になるためのプロセスでもあるんです。

―お仕置きにはどういう方が来るのでしょうか？
　お仕置きは本来、両親や先生が叱るためにすることだから、自分からお仕置きしてください！と言うのは変ですよね。むしろされたらすごく嫌な気持ちになるのに、なぜか大人になったらAVでそういうジャンルを探しちゃう人がいるんですよ。私のお仕置きには、過去に叩かれたトラウマがありストレスを発散しにくる方もいるし、やっぱり懺悔の気持ちでいらっしゃる方も多い。飲みすぎて上司に暴言吐いちゃった方や、最近会社に遅刻ばかりしている方などですね。大人になるとお仕置きされることってまずないから、自分の気持ちだけで反省をしないといけない。だけど、自らを罰することは難しいんですよね。ならば、私のもとに来てほしい。私は気持ちを込めて叩きたいので来た方には必ず最初にカウンセリングをします。反省したいことあるんでしょ？って引き出してあげる。ただ暴力にならないようにするために、コミュニュケーションは欠かせないですね。あとお仕置きのときはお金をもらいません。お金が発生するとそれに見合ったプレイを提供しなくてはいけなくなるから、あくまであなたが悪い子だから叩くという純粋な気持ちで向き合いたいんです。主導権を握っているのは相手ではなく、あくまで私。一度、反省するためには何回叩かれる必要がある？って聞いたら、１００回って言われたのに、１万回って聞き間違えてしまったんです。私は腕がパンパンになるくらい、がんばって１万回叩いたんですよ。叩きすぎて、お尻は血だらけになってしまいました。終わった後になんで１万回なんて言ったの？と聞くと、僕１万回って言ってないです…って言われて、気がつきました。反省してなかったら何時間でも叩きますよ。
 

―ここまでスパンカーを続けてこられたモチベーションは？
　昔、SMをしていた時代から、きりこという名前で活動をしていたので、お客に「おいきりこ、尻出せ！」って言われていたんですよ。いつかきりこ様って呼ばせてやる！とずっと思っていましたね。20年間スパンカーとしてやってきたのですが、やっぱり叩かれるのって痛いから、本来は嫌がって逃げると思うんですよ。でも私の膝の上でお尻を出して、反省のために痛いお仕置きをがんばって耐えているお尻がもうかわいくて。その瞬間がたまらなく愛おしいからここまで続けてこれたのだと思います。これからも反省のために痛いお仕置きをがんばって耐えてくれるお尻がある限り続けられますね。「お仕置きといえばきりこ」と私を選んで来てくれることが、最高に幸せですね。