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女子もオープンにエロを発信する時代。 元気でハッピーなエロライフを 16人の女性に聞きました。
「性」と「生」を美男子で表現する、時代の変革者
木村了子(52)日本画家
1997年東京藝術大学大学院壁画専攻修了。伝統的な日本画の技法で、現代美男子を描く。
―学生時代について教えてください
 当時から山田風太郎さんの『忍法帖シリーズ』などエロティックなものは好きでしたが、作品には反映されていませんでした。自分のヌードを描いても、恥ずかしくて私だとは言えなかったし、モデルを依頼して初めて描いた男性ヌードは、あまりにもきれいな体で、気圧されてうまく描けなかった。教授やほかの学生の目を意識して自分を表現するのは難しかったんです。でも、卒業後に編集者時代を経て、表現したいことがわかってきた。人間の本能的な部分を描きたくて、エロティックな作品を作り始めました。
―初めて美男子を描いたきっかけは?
 人物表現はヌードを含め女性像が当たり前な時代で、私も疑問なく女性像を描いていました。でも、異性愛者の私の欲のままエロスを追い求めたいと思い、男性を描くことにしたんです。初めて「美男画」を発表したのは2005年で、女体盛りならぬ男体盛りをモチーフにした作品。制作時、男性モデルの方が「僕をどう料理してくれます?」と言ってくれたことで、男体盛りのアイデアが浮かびました。実はこの頃、銀座のフェティッシュバーでバイトしていたこともあり、私にとってのSMとは?と考えていました。男体盛りは、食べることが好きな私のSMというイメージです。「男性盛りなんて気持ち悪い」と仰っていた女王様が、絵を観て「素敵、私もやりたい!」と価値観を変えられたときは、嬉しかったです。
―美男子を描き続けて18年、作品や心境に変化はありましたか?
 ずっと変態って言われていたんですけど、だいぶ受け入れてくれる世の中になりました。それと同時に私も変わって、若いイケメンに限らず、お腹がぽよっとした中年や老人男性にも魅力を感じるようになり、美男画として描きたいと思っています。でもやっぱり私好みの素敵な男性モデルに出会うと、見るのも描くのも段違いで幸せなんですよね(笑)。世の中では多様性やルッキズムの考えが浸透しているけど、私のモチベーションの根本は私自身が美しいと思う男性を描くこと。その信念は時代が変わっても変わりません。私は、エロを「生」のイメージで描いているので、これからも生きる喜びや快楽をエロティックな美男子に乗せていきたいなと思っています。
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