―AV女優になったきっかけは？
　専門学校の卒業間近、今の事務所に連絡をしたことがきっかけです。男優さんとＨしてみたいと思っていたし、就職先の仕事が向いていないと悩んでいるときで、気が狂ったような勢いで連絡したんです（笑）。その後、とんとん拍子で話が進み、AV撮影が無事に決定したけれど、本当は何本か撮影したら普通の社会人として働くつもりだったんですよ。でも、デビュー作のプロデューサーさんに、「あなたAVが天職だよ」って言われて。今まで人生のどこかで転機があるはずと、変われる瞬間を待っていたから、これだ！AVだ！って確信しました。AVでセックスをしている自分は輝いてると心から思えたから、内定先を蹴ってでも業界入りを決意したんです。

―AV女優で良かったと思うことは？　
　自分の知らなかった魅力を引き出してもらえたこと。私、AV女優になってからよく「真面目だね」って言われるんです。自分では意外だったけど、確かにそれで悩んだこともあったし、いいこともありました。たとえば、私がよく演じる痴女役って「こうしてほしいんでしょ？」みたいな言葉責めの王道スタイルがある。でもそのやり方ってもう古いんです。時代は変わって、今のネオ痴女は、昔は責められるだけだったロリっぽい女優さんがガンガン責めるし、セリフも台本がないので自由にしていいんですよ。ネオ痴女を見ると私も柔軟に演じようって思う反面、真面目が故に次何言おう…と、言葉に詰まることがあるんです。でもいろいろ考えた結果、その沈黙もエロいよねって思うようになりました。自分が真面目なことを自覚できたからこそ、オリジナルのエロさにつながるし、制作側とも真剣に仕事ができる関係性でいられると思っています。

―仕事の信念はありますか？
　AV女優って強い信念を貫けば、想像以上に楽しい業界だと思うんです。私の信念は、そのままの自分でいること。始めたての頃はSNSや周りの人が、痩せてくださいとか、口がもっとちゅんとしてたらかわいいねとか自分好みにしようとする人たちが多かったんです。 AVに出たらこんなに言われるのかって最初は驚いたんですけど、私はありのままの私自身に需要があると思っています。だって、みんなそれぞれ人気があるし、女の子の好みってバラバラだから。 言われた言葉に揺らいじゃって、自分がなくなっちゃうのはすごくもったいない。落ち込んでる女優さんを見ると、気にしたらあかんって思います。それから私、キモい部分があって。過去に絡んだことがある男優さんが、ほかの女優さんと絡んでいると、え、この前私とＨしたじゃんって思うから観れないんです。でも観れないからこそ、影響を受けないし撮影でも自分を疑わず演技に集中できる。どんな女の子たちでも輝いているから、他人の言葉に惑わされたり、周りと比べたりする必要はないと思うんです。私は私らしく、そのままの自分でAV女優をしていたいんです。

―今後のAV像を教えてください。
　私って、親しみやすいと思われることが多いんです。確かによく喋るし、フレンドリーなほうだから、メンズは大体友だちになるんですよね。そこから急に友だちの関係が男女の関係になる瞬間が一番エロいと思うんですよ。私も脱いだら、乳首はピンクだし、セックスするときはちゃんとエロい女になる。それこそＳＮＳとかで「石原のリアルな女友だち感のエロがいい」という投稿を見るんですけど、それそれって思います。最初からエロいことをするぞ、じゃなくてリアルにある、「今起こるかもしれないエロ」を見せられたらベストだと思っていますね。専門学校時代の男友だちは、きっと私がAV女優になったことにびっくりしているはず。そんな風に、周りから見たら一番セックスが想像できない人のエロを表現できたら嬉しい。AVはもちろん作り物だけど、その中でリアルな男女のエロを表現できる新世代のAV女優としてがんばっていきたいです。