GRAFFITI CONTENTS
カメラが捉えた事実の断片、監督の問題意識、被写体への想い。さまざまな複雑 性を帯び一つの作品となった映像作品の数々。そんな魅力あふれるドキュメンタリー をジャンルごとに総計100本紹介します。もしかしたら、この中からあなたの人生を 変える、かけがえのない作品を見つけることができるかも。
アグネス・チャンが選ぶドキュメンタリー作品「貧困問題」
アグネス・チャン(68)歌手、エッセイスト
歌手に加え、本の執筆や教育学博士としても活動。初代日本ユニセフ協会大使を務めるなど幅広く活躍中。
生理の認識、ナプキンの問題
生きづらい女性の現状
-STORY-
インドの村で、女性たちが生理用ナプキンを作る機械を学び、販売する。

 インドでは、生理の話はタブーとされていて、日本との認識も大きく違います。男性の間では、生理を女性の病気だと思っている人もいるし、女性は生理の出血を恥ずかしいことだと思っている。さらには、生理で血が目立つと生活がしづらくなり、学校を辞めてしまう。ナプキンを使う女性がすごく少ないんです。そんな問題を変えるために、貧困地域でナプキンを作る機械が導入される。女性たちが集まり、機械の使い方を積極的に学ぶ姿はとても印象的でしたね。彼女たちはその機械で作ったナプキンを手売りして、お金を得る。貧困の中でもチャンスがあれば希望を持てるということを強く感じられます。こうしたインドの貧困状況は、簡単には撮らせてもらえません。大使館が映像や台本を確認し、OKがもらえなければビザは出ない。だからこの現状が、映像として残ることはすごく貴重なんです。日本では、ナプキンを当たり前に買うし使う。でもインドではその当たり前がない。どれほど彼女たちが生きづらい環境の中で生活をしているのか、深刻な状況を知ってもらいたいです。

『ピリオド―羽ばたく女性たち―』2018年/アメリカ/監督:ライカ・ゼタブチ/Netflix
 続きは本誌で!
RELATED CONTENTS
FOLLOW US ON