GRAFFITI CONTENTS
カメラが捉えた事実の断片、監督の問題意識、被写体への想い。さまざまな複雑 性を帯び一つの作品となった映像作品の数々。そんな魅力あふれるドキュメンタリー をジャンルごとに総計100本紹介します。もしかしたら、この中からあなたの人生を 変える、かけがえのない作品を見つけることができるかも。
奥田知志が選ぶドキュメンタリー作品 「支援・ドロップアウト」

奥田知志(60)牧師
東八幡教会で牧師をしながら、NPO法人抱樸の理事長を務める。困窮者やホームレス、障がい者の支援に従事。
東八幡教会で牧師をしながら、NPO法人抱樸の理事長を務める。困窮者やホームレス、障がい者の支援に従事。
立派な人は誰もいない
だから人間はおもしろい
だから人間はおもしろい

-STORY-
教会に集う人々の人生とキリストの受難劇を織り交ぜたドキュメンタリー。
舞台になっている東八幡教会は、実は私が所属している教会で、さまざまな人が集まっているんです。この作品は、そんな教会に集う人々が自分の人生を語るインタビュー映像と、彼らが役を与えられてイエス・キリストの受難劇を演じるお芝居の二編からなります。見どころは、なんといってもその演劇。視聴者はすでに前半のインタビューを観ているから、与えられた役とその人の人生が重なって見えるんです。特にイエス役を演じた元ヤクザの菊川という男。彼が劇の中で許しを語るシーンは、自分が過去に犯してきた罪を許してほしいという彼の告白のように聞こえました。芝居のようで芝居じゃない、この演劇のおもしろさは完全に役になりきれないところにあるんです。
最近は、人を生産性があるかないかで単純に評価しようとしますが、作中に出てくる人物はそんな単一な軸では評価できない人ばかり。だから今この作品を観ると、人間っておもしろいな、私は私のままでいいんだと思わせてくれます。
『重力の光』
2022年/日本/監督:石原海/「重力の光」制作運営委員会
教会に集う人々の人生とキリストの受難劇を織り交ぜたドキュメンタリー。
舞台になっている東八幡教会は、実は私が所属している教会で、さまざまな人が集まっているんです。この作品は、そんな教会に集う人々が自分の人生を語るインタビュー映像と、彼らが役を与えられてイエス・キリストの受難劇を演じるお芝居の二編からなります。見どころは、なんといってもその演劇。視聴者はすでに前半のインタビューを観ているから、与えられた役とその人の人生が重なって見えるんです。特にイエス役を演じた元ヤクザの菊川という男。彼が劇の中で許しを語るシーンは、自分が過去に犯してきた罪を許してほしいという彼の告白のように聞こえました。芝居のようで芝居じゃない、この演劇のおもしろさは完全に役になりきれないところにあるんです。
最近は、人を生産性があるかないかで単純に評価しようとしますが、作中に出てくる人物はそんな単一な軸では評価できない人ばかり。だから今この作品を観ると、人間っておもしろいな、私は私のままでいいんだと思わせてくれます。
『重力の光』
2022年/日本/監督:石原海/「重力の光」制作運営委員会
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