GRAFFITI CONTENTS
カメラが捉えた事実の断片、監督の問題意識、被写体への想い。さまざまな複雑 性を帯び一つの作品となった映像作品の数々。そんな魅力あふれるドキュメンタリー をジャンルごとに総計100本紹介します。もしかしたら、この中からあなたの人生を 変える、かけがえのない作品を見つけることができるかも。
李信恵が選ぶドキュメンタリー作品「差別」
李信恵(52)フリーライター
大阪府出身の在日朝鮮人2.5世。著書『鶴橋square』(仮)が影書房から2024年1月刊行予定!
ヘイトスピーチと闘う女性
複合差別を知ってほしい
-STORY-
ヘイトスピーチの裁判を中 心に、少数者・女性に対す る複合差別を描く。


 差別と闘う在日女性たちを描いた本作では、 日本で初めて「複合差別」が認められた反ヘイ トスピーチ裁判を取りあげています。民族の 差別は取り上げられやすいけど、女性差別というのは中々見えづらかった。ただ、この作 品は深刻なテーマの中で、朝鮮舞踊をしたり、 笑ったり、飲んだりっていう在日女性の日常 も映している。声を上げるだけでなく、生活 の中でたくましく生きることも、差別との闘 いの一つとして描かれているんです。
 今は韓流ブームで若者が多い新大久保も10年前はヘイトスピーチがあった場所。日本 の公立学校のなかに民族学校というクラスが あるのですが、そこに通う子どもたちがヘイ トスピーチに出会うとやっぱりショックを受 けるんです。民族や性差別がなくとも、コロナ禍のとき、発病した多くの人が差別にあい ました。差別の芽は、どこにでも転がってい ます。だからこそ、人とのつながりを持ち、 その芽を消していくことが大切だと思います。

『もっと真ん中で』
2019年/日本/監督:オ・ ソヨン
続きは本誌で!
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