GRAFFITI CONTENTS
カメラが捉えた事実の断片、監督の問題意識、被写体への想い。さまざまな複雑 性を帯び一つの作品となった映像作品の数々。そんな魅力あふれるドキュメンタリー をジャンルごとに総計100本紹介します。もしかしたら、この中からあなたの人生を 変える、かけがえのない作品を見つけることができるかも。
eriが選ぶドキュメンタリー作品「環境問題」

eri/アクティビスト、DEPT Company代表
アパレルブランドのデザインやディレクションを手がける一方で、気候危機や社会問題においてアクティビストとしても活動中。
アパレルブランドのデザインやディレクションを手がける一方で、気候危機や社会問題においてアクティビストとしても活動中。
環境問題の解決の第一歩
まずは知るということ
まずは知るということ

-STORY-
何十年にもわたり環境や生態系を追うデヴィッド・アッテンボローが、自然の歴史を振り返りながら、未来に 向けてメッセージを送る。
気候変動を初めとした環境問題や地球の成り立ちが、包括的にわかりやすく描かれた作品。意外と知られていないパーム油についても、説明がされている。パーム油は植物油脂とも表記され、化粧品や食品などあらゆる製品に使われています。何が問題なのかというと、低コストで汎用性が高く需要もあるので、パームヤシの面積が地球上で年々増え続けているということ。そうすると、森林伐採によるCO2の排出はもちろんですが、単一栽培によって多様性が失われてしまう。それまで生きていた動物や虫が居場所を失い、生態系が崩れてエコ システムが壊れてしまうんです。海でも同様に、一例ではありますがサンゴ礁が消失のきなくなって地球の氷が溶けています。さらには、気候変動を解決する上で欠かせない 化石燃料についての話。何に化石燃料が使われていて、私たちの生活にどんな関係があって、代替案として何があるのか。そういった部分にもこの作品は言及しています。環境問題は海や山、人間の生活などどこか一つで起きているのではなく、すべてに相関性がある。その全体像を、美しくときに残酷な映像を通して知ることができます。そして最後には、じゃあどうしたらいいの?というところまでお話をされているので、初心者の方にもすごくおすすめ。これからの生活のヒントがもらえると思います。
『デヴィッド・アッテンボロー:地球に暮らす生命』
2020年/イギリス/監督:アラステア・ フォザーギル、ジョニー・ヒューズ、キー ス・スコーリー/Netflix
何十年にもわたり環境や生態系を追うデヴィッド・アッテンボローが、自然の歴史を振り返りながら、未来に 向けてメッセージを送る。
気候変動を初めとした環境問題や地球の成り立ちが、包括的にわかりやすく描かれた作品。意外と知られていないパーム油についても、説明がされている。パーム油は植物油脂とも表記され、化粧品や食品などあらゆる製品に使われています。何が問題なのかというと、低コストで汎用性が高く需要もあるので、パームヤシの面積が地球上で年々増え続けているということ。そうすると、森林伐採によるCO2の排出はもちろんですが、単一栽培によって多様性が失われてしまう。それまで生きていた動物や虫が居場所を失い、生態系が崩れてエコ システムが壊れてしまうんです。海でも同様に、一例ではありますがサンゴ礁が消失のきなくなって地球の氷が溶けています。さらには、気候変動を解決する上で欠かせない 化石燃料についての話。何に化石燃料が使われていて、私たちの生活にどんな関係があって、代替案として何があるのか。そういった部分にもこの作品は言及しています。環境問題は海や山、人間の生活などどこか一つで起きているのではなく、すべてに相関性がある。その全体像を、美しくときに残酷な映像を通して知ることができます。そして最後には、じゃあどうしたらいいの?というところまでお話をされているので、初心者の方にもすごくおすすめ。これからの生活のヒントがもらえると思います。
『デヴィッド・アッテンボロー:地球に暮らす生命』
2020年/イギリス/監督:アラステア・ フォザーギル、ジョニー・ヒューズ、キー ス・スコーリー/Netflix
地球には限界がある
守るのは私たちです
守るのは私たちです

-STORY-
デヴィッド・アッテンボローと科学者のヨハン・ロックストロームが地球の未来を救う方法を探 るドキュメンタリー。
私たち人類には、地球で安全に暮らせる領域があって。プラネタリー・バウンダリーと言われるんですが、その限界値についての話。地球の気温は人間が出したCO2を地球が吸ってくれて、必要なときに冷やしたり、温めたりすることで一定の温度を保っているんです。つまりは地球と人間は超ベストフレンドな関係。それが1・5度を超えてしまうと、地球が敵に転じてしまう。そのことにヨハンさんは警鐘を鳴らしています。
この気候変動の説明は、気候化学に基づいています。地球は人類によって何十年、何百年もかけてゆっくりと温度が上がっていきました。このまま地球温暖化が進むと、4年以内に1・5度を超える可能性があります。この限界値を超えると地球がどうなるか、結果は誰も予測できない。どうして超えてはいけないのか、なぜ温暖化を食い止めようとしているのか、その理由がこの作品を観ることでよくわかると思います。温暖化の問題 は今に始まったことではなく、社会の変化とともに加速しています。先代の人類たちが危機感を持って対策をしていたら、こんなことにはなっていなかったと思うと、今からできうるすべてのことにチャレンジしたい。作品では終始、気候科学に基づいた数字がたくさん出てきますが、この作品を通して一つでも、気になった数字を覚えていたら、人と話すきっかけになってくれるはず。
『地球の限界 “私たちの地球”の科学』
2021年/アメリカ/監督:ジョナサン・ クレイ/Netflix
デヴィッド・アッテンボローと科学者のヨハン・ロックストロームが地球の未来を救う方法を探 るドキュメンタリー。
私たち人類には、地球で安全に暮らせる領域があって。プラネタリー・バウンダリーと言われるんですが、その限界値についての話。地球の気温は人間が出したCO2を地球が吸ってくれて、必要なときに冷やしたり、温めたりすることで一定の温度を保っているんです。つまりは地球と人間は超ベストフレンドな関係。それが1・5度を超えてしまうと、地球が敵に転じてしまう。そのことにヨハンさんは警鐘を鳴らしています。
この気候変動の説明は、気候化学に基づいています。地球は人類によって何十年、何百年もかけてゆっくりと温度が上がっていきました。このまま地球温暖化が進むと、4年以内に1・5度を超える可能性があります。この限界値を超えると地球がどうなるか、結果は誰も予測できない。どうして超えてはいけないのか、なぜ温暖化を食い止めようとしているのか、その理由がこの作品を観ることでよくわかると思います。温暖化の問題 は今に始まったことではなく、社会の変化とともに加速しています。先代の人類たちが危機感を持って対策をしていたら、こんなことにはなっていなかったと思うと、今からできうるすべてのことにチャレンジしたい。作品では終始、気候科学に基づいた数字がたくさん出てきますが、この作品を通して一つでも、気になった数字を覚えていたら、人と話すきっかけになってくれるはず。
『地球の限界 “私たちの地球”の科学』
2021年/アメリカ/監督:ジョナサン・ クレイ/Netflix
漁業による海への悪影響
命に対する考えを問う
命に対する考えを問う

-STORY-
サステイナブル漁業の真実は?海洋生物を苦しめている原因は何?海に関するさまざまな問題に迫る。
この作品を観て初めて知ったのが、イルカ漁の実態。漁獲量を増やすために、魚を食べるイルカを追い込んで殺すんですけど、血で海があんなに赤く染まるなんて今まで見たことがなかった。日本でもイルカ漁や捕鯨をしているので、私たちには耳が痛い内容も描かれています。生態系は一つでもバランスが崩れるとすべてがダメになってしまう。食物連鎖の上位にいるサメは海にとって重要なのにも関わらず、フカヒレによる利益のために漁をやめない。商業漁業は常に問題が多くて、一度に必要以上の生物を網で捕獲するんです。不要な生き物は海に戻すけれど、そのときには死んでしまっている。海に浮かぶプラスチックの話はよく聞くと思いますが、同様に深刻になっているのは漁師さんが漁具を海に捨てている問題。使い捨ての漁具を海に流し、それが当たり前になっている。プラスチックは分解されずにマイクロプラスチックとして海から魚、魚から人へと移り、私たちの体には一週間でクレジットカード枚分のプラスチックを体内に取り込んでいるんです。海には二酸化炭素を吸収するという重要な役割があり、海藻は木の倍の炭素を貯蓄してくれています。地球上の二酸化炭素の%は海洋植物が海に留めていてくれているから、海ってめっちゃ大事...!地球のためにも守るべき存在であることを、改めて認識させてくれる作品。
『Seaspiracy 偽りのサステイナブル漁業』
2021年/アメリカ/監督:アリ・タブリジ/Netflix
サステイナブル漁業の真実は?海洋生物を苦しめている原因は何?海に関するさまざまな問題に迫る。
この作品を観て初めて知ったのが、イルカ漁の実態。漁獲量を増やすために、魚を食べるイルカを追い込んで殺すんですけど、血で海があんなに赤く染まるなんて今まで見たことがなかった。日本でもイルカ漁や捕鯨をしているので、私たちには耳が痛い内容も描かれています。生態系は一つでもバランスが崩れるとすべてがダメになってしまう。食物連鎖の上位にいるサメは海にとって重要なのにも関わらず、フカヒレによる利益のために漁をやめない。商業漁業は常に問題が多くて、一度に必要以上の生物を網で捕獲するんです。不要な生き物は海に戻すけれど、そのときには死んでしまっている。海に浮かぶプラスチックの話はよく聞くと思いますが、同様に深刻になっているのは漁師さんが漁具を海に捨てている問題。使い捨ての漁具を海に流し、それが当たり前になっている。プラスチックは分解されずにマイクロプラスチックとして海から魚、魚から人へと移り、私たちの体には一週間でクレジットカード枚分のプラスチックを体内に取り込んでいるんです。海には二酸化炭素を吸収するという重要な役割があり、海藻は木の倍の炭素を貯蓄してくれています。地球上の二酸化炭素の%は海洋植物が海に留めていてくれているから、海ってめっちゃ大事...!地球のためにも守るべき存在であることを、改めて認識させてくれる作品。
『Seaspiracy 偽りのサステイナブル漁業』
2021年/アメリカ/監督:アリ・タブリジ/Netflix
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