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笑顔は世界共通言語! いろいろな方に一番笑える名作映画を語ってもらいました
悪夢のような現実から目覚めるブラックコメディー! 笑えるホラー映画編
SUGI(28)映画監督、プロデューサー
1993年茨城県生まれ。インディーズ映画の制作や映像制作、舞台演劇の映像制作・操作などを務める。好きなホラー映画は『悪魔のいけにえ』、『キャリー』、『回転』、『エクソシスト3』。現在、監督作品を鋭意製作中。
ゾンビなのに喋る、走る、知恵がある。不死身の死人の殺し方
 一般的なゾンビ映画だと、襲ってくる死人の頭を銃で撃ち殺すのがセオリー。しかし、この作品のゾンビは不死身。それから、めっちゃ走るしめっちゃ喋る。知恵があるんです。救急隊員がゾンビに襲われるシーンでは、ゾンビが無線を奪って「隊員の応援をお願いします」って言うんですよ。つまり、おかわりをお願いしますっていう(笑)。それに、映画史上初めて、人間を襲って食べる理由を、ゾンビ自身が説明する作品でもあるんです。死の痛みを和らげるのが人間の脳みそだからだと。画期的ですよね。全編90分の中で85分は笑えるけど、最後の5分は恐ろしくて呆気にとられました。この絶対に死なないゾンビをどう倒すのか。結局、人間もゾンビも死は平等に訪れるのだなと。いかにもアメリカっぽい皮肉な倒し方で、現実社会が抱える問題を笑い飛ばそうとしているんです。
 
実は笑える道徳の教科書、誰しもが主人公と同じ立場になりえる
幸せをつかむことに必死な銀行員の女性が、ローン返済に苦しむ老婆を助けなかったことで呪いをかけられる話。観念的な内容なんだけど、それを即物的に表現しているのでわかりやすくて笑えます。例えば、老婆の入れ歯や目玉が主人公の口に入ったり、ゲロを飲まされたり。寝ている主人公の鼻にハエが入るシーンも最高。翌日、彼氏の親と食事会をしていたときに、口からハエが出ちゃうんですよ。お母さんと距離が縮まりそうだったのに、ドン引きされて(笑)。あまりにも主人公の女性がひどい目に合うから、理不尽な映画だと言われることが多いんです。でも、因果応報。なぜなら主人公は、自分の出世のために老婆に対して無慈悲な対応を取ったから。私利私欲に走った人の愚かな行動だし、この世の誰しもが同じ立場になりえる行動でもある。まさに笑える道徳の教科書ですね。
風刺と笑い、同じような人間が違いを競い合うバカバカしさ
 注目すべきはクリスチャン・ベールのハイテンション演技。エリートサラリーマンなんだけど、人を殺す衝動を抑えられないんです。『悪魔のいけにえ』を観ながら筋トレをしていたり、ムカつく同僚を家に呼んで好きな音楽を熱弁しながらぶっ殺したり(笑)。さらに、本作の大事なファクターは名刺。主人公たちが自分の名刺を見せ合って個性を競うシーン。紙質やフォントの違いを必死に説明しているんだけど、観客には違いがわからない。みんな同じような髪型にスーツ姿だし、個性をアピールしているのに誰一人個性がないんです。結局、主人公は人殺しを個性だと思うようになり、周囲にバレるよう振舞うけど、殺人さえ誰も気にしない社会の恐ろしさ。出口なしの地獄に閉じ込められるのだけど、それって現実も同じ。悪夢のような現実から抜け出すために、僕らは映画を観るんです。
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