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笑顔は世界共通言語! いろいろな方に一番笑える名作映画を語ってもらいました
穏やかな日常に隠された愛とユーモア 、笑えるドキュメンタリー映画編
太田光海(32)
映像作家、文化人類学者
東京都生まれ。2021年にアマゾン熱帯雨林での1年間の調査と滞在撮影を経て、初監督作品となる『カナルタ 螺旋状の夢』を全国劇場で公開。多方面から強い反響を得ている。
時空を超えてつむぎ出すSFドキュメンタリー!
 「私が独裁者になるとき」というかなり挑発的なタイトル。監督が名もなき人たちが撮ったミリフィルムを集めて、独自の視点でつむぎ出していく実験的な作風に惹かれました。フィルムのシャッフルの仕方、ナレーションの入れ方など監督のアイロニーが効いている。結婚式場に車から降りて向かっているカップルが何度も逆再生されるシーンがあって。簡単には言語化できないけど、何気ない動き自体から生まれてくるおかしさを感じる。この映画は単に身の回りの日常を映しているだけではないんです。国も年代も違うフィルムのかき集めによって、時空を超えた想像力を掻き立たせてくれる。記録には残らない人々の日常に、実は潜んでいる笑える瞬間。そういう尊さを感じつつおもしろがってもらえたら嬉しいですね。
圧倒的な現実に健気に飛び込んでいく潔さ
 イランの政治に自由への抑圧を感じている監督が、イスラム主義の精神的指導者の4人と合宿を決行するんです。監督はイランからフランスに移住した政教分離の立場。公共の場で一つの宗教だけをバックアップするべきではないと訴えるんです。それに対し「君たちだって政教分離主義者じゃないか」と返す。そんな4人に監督はたじたじになっちゃうんですよ。それでも対話を続ける諦めない姿勢がおもしろい。さらに進むと4人の中でも価値観の違いが明らかになっていく。人間がわかり合えるってどういう風に決まるのか、自分の価値観が揺さぶられる。それでも終始コミカルな雰囲気で、厳しい社会の現実と向き合うための笑いの必然性を感じます。監督の自分の姿すらも笑いにかえていく精神がかっこいいんです。
パリで生きたそれぞれの人生、50年前の鮮やかな記録
 ルイ・マル監督がパリのレピュブリック広場で突撃した人々との会話が記録されている作品。とにかくライブ感がすごくて。道ゆく人たちの生き生きとした表情や、個人的なエピソードがおもしろい。例えば、使っている洗剤について力説している女性や、神は唯一なんです、と力説している男性が登場する。ルイ・マルはそういう人々に対して、「へー、君はそう思うんだ」といった感じで受け答えするんですよ。人々がいかにそれぞれのこだわりがあり、他者に伝えたいかが見えてくる。それを引き出しつつも、まともには受け取らないルイ・マルの飄々とした雰囲気に笑えます。なんだ!この会話って(笑)。そんな一癖ありな人々の人生を、50年後に僕が垣間見ている。その奇跡もまた、おもしろいんです。
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