彼：片寄明人／ミュージシャン、音楽プロデューサー      
彼女：ショコラ／ミュージシャン、アーティスト  
音楽番組やミュージシャン仲間の紹介で出会った二人。出会って数ヵ月で同棲、翌年に結婚。2005年に「Chocolat&Akito」結成。二人でツアーなどを続け、結婚19年目の5月に第一子誕生。



〝出会った瞬間、世界が　
スローモーションに見えた〟


―どれくらい一緒に過ごしていますか？
彼・片寄明人（以下、明人）：出会ったとき、彼女は19歳で僕が29歳。だから、もう23年になりますね。
彼女・ショコラ：今でも覚えてるんですが、初めて明人と出会った瞬間、彼がスローモーションに見えたんですよ。私が司会をしていた音楽番組で、明人のバンド「GREAT3」のミュージックビデオはよく紹介していてたはずなんだけど。本物と対面したら…ね。不思議。
明人：恥ずかしながら、僕も出会った瞬間一目惚れでした。ハガキの切れ端に電話番号を書いて渡して。気づけば半年後には結婚していました。数年後には夫婦デュオを結成して、二人で音楽活動を始めました。

―趣味や仕事が一緒であるメリットは？
明人：二人でツアーをとことん楽しめることかな。ライブの前日に前乗りして、ライブをして遊んで帰る。そうやって日本中を旅していました。
ショコラ：夫婦だからできたんですよね。女の子が一人で日本全国のツアーを回るのは怖いけど、私には明人がいる。
明人：僕らはスタッフを同行させずに、二人きりで回ってたんです。僕がミュージシャン兼ツアーマネージャー、手配や荷物持ちなどもやっていたんです。大変だったけど、楽しかったよね。
ショコラ：本当に楽しかったね。私は器が好きだから窯元を訪問したり、手仕事をされている方の作業場を訪ねたり。必ず温泉に入って、ご当地のおいしいものを食べて帰ってました。
明人：そうそう。気づけばライブ写真より遊んでいるときの思い出写真ばっかり残ったよね。

〝夢は？って聞かれたら　
「ショコラと同時に死ぬこと」〟

―では、デメリットは？
ショコラ：デメリットかあ。マイナス面が思いつかないんですよね。
明人：楽しいから一緒にいる。だからマイナス面がないんだよね。趣味や仕事、見ている方向が一緒というのはとても心地よくて、楽しいんです。強いていうなら、いわゆる恋愛のトキメキ的なものはとっくにないですね（笑）。
ショコラ：そうだね。3年も経ったらなくなってたよね。いることが当たり前の空気のような感じ。
明人：時々我に帰ると、「あれ？なんでこの人といるんだろう？」って思うことも。一人で生活していた頃のことは、もう思い出せない。二人でいる以外の生活が想像つかなくなっちゃったんです。

―相手はあなたにとってどんな存在？
ショコラ：謎の同居人ですね。空気みたいな感じかな。ポジティブな意味で、無（笑）。
明人：そうだね。仕事も一緒だから相棒とか、同志っていう感覚ももちろんあります。まあ確かに、たとえお互い部屋の中を全裸で歩いてても無…まさに空気（笑）。でもそして何があっても味方でいてくれる人だね。
ショコラ：言い換えると、ソウルメイトっていうのかな。側にいてくれることも、私に何かしてくれることも当たり前すぎて、時々明人からは「感謝の気持ちがない」って冗談を言われます。
明人：子どもができるまで、夢は？と聞かれたら、「ショコラと同時に死ねたらいい」って、どこか本気で思っていたんです。その後の人生がイメージできないし、悲しすぎるから。
ショコラ：私もそう思っていましたね。だから、二人で昇天するときに流す曲まで決めてました。
 

〝結婚19年目で第一子出産　
二人の新しい人生がスタート〟

―まさに同志と感じる瞬間は？
明人：食に関していえば、二人ともネギ類が食べれらないこと。僕はインスタントラーメンのネギを茶漉しで取り除くくらいのネギ嫌いなので、周りに迷惑をかけることを気にしていたんだけど…。
ショコラ：それが、ネギ嫌いは私も一緒だった。子どもに食べさせるまでは一度も買ったことなかったんですよ。
明人：あと、お互い遊びまわるタイプではないのも合ってるかな。コロナ禍の自粛期間中もストレスなく過ごしてます。
ショコラ：自分たちのスタイルに近いもんね。映画や家が好きでインドア派。友人とも、たとえ長い間会えなくても、心の繋がりは消えないと考えるタイプだし。あと、私は明人のユーモアセンスが好きなんです。一緒にいると全部笑えるっていうか。それが良かったんですよね。
明人：一緒にいるのが楽しいからずっといる。それだけです。仲良し夫婦って思われるとなんか恥ずかしいけど、自分より相手の喜びが優先。なんだか、年々自我が無くなってきちゃいました。20年一緒に過ごして、新しい生活がスタート。なんだか僕はショコラとの人生を、二倍楽しんでいる感じがしています。